たまゆら

写真

2016 春告花

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何かを犠牲にしなければ、何かは得られない。

あるいは、誰かを。

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この梅を見るために、病人と老人のいる実家に嘘をつき、繁忙期の職場を半日休ませてもらった。

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申し訳なさと後ろめたさを「でも」と「だって」で覆いながら、秒単位で走る。

慌ただしい花見。

けれど。

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このひとときがなかったら。

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私は、呆けた母と病の兄を殺して、自分も死んでいたかもしれない、と思う。

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明日の夜は、9時前には仕事を終えよう。

家に帰ろう。

ご飯を食べて、テレビを見て、ブログを読んだり書いたりする、普通の、それでいて今は得難い暮らし。