何かを犠牲にしなければ、何かは得られない。
あるいは、誰かを。
この梅を見るために、病人と老人のいる実家に嘘をつき、繁忙期の職場を半日休ませてもらった。
申し訳なさと後ろめたさを「でも」と「だって」で覆いながら、秒単位で走る。
慌ただしい花見。
けれど。
このひとときがなかったら。
私は、呆けた母と病の兄を殺して、自分も死んでいたかもしれない、と思う。
明日の夜は、9時前には仕事を終えよう。
家に帰ろう。
ご飯を食べて、テレビを見て、ブログを読んだり書いたりする、普通の、それでいて今は得難い暮らし。